地域猫推進寺

1.地域猫活動の必要性

つないで飼う義務のない猫から発生するトラブルは、自由な行動による糞尿汚染や旺盛な生殖能力による過剰繁殖が大半を示しています。
猫は外で自由にするべきと考える人もいますが、都市化された住宅密集地ではトラブルの基であり、猫自身も交通事故や虐待・感染症の危険が増大しています。
飼い猫として世話をする人は、今後、屋内飼育をしていくべきですが、今屋外で生活している成猫を、すぐに屋内で飼育させても殆ど適応できません。
(人慣れした成猫は別として、かえってストレスになることが多い)
また、エサを与えなければ解決すると言いますが、一時的にその場を離れることはあっても、生まれ育った地域周辺で生きていくために何でもすることから、ゴミ漁りや家の中への侵入、小鳥や鯉・金魚の襲撃等、新たなトラブルが発生してしまいます。
行政では捕獲して処分することも自立できる猫の引き取りも「動物の愛護及び管理に関する法律」の趣旨から行いません。何もしなければ繁殖を繰り返して、町中に飼い主の不明な猫が増え続けることになります。
そこで、ノラ猫問題を地域の環境問題として取り組み、人と猫が共存することで解決していく方法が「地域猫」なのです。
地域内に必ず存在するエサを与えている人達や世話をしたい人達が、地域のルールに基づいて周辺住民の理解を得ながら活動していきます。
決してこの人達だけの活動にするのではなく、住民間で良く話し合いをして妥協点を見つけながら地域で見守ることです。

平成22年2月に環境省が発行した「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」には、飼い主のいない猫対策として地域猫を推奨しています。

また、令和2年4月に発令された環境省告示第53号「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」の中に、「地域猫活動の在り方に関し検討を加え、適切な情報発信を行うこと」「地域猫活動に対する理解の促進」とあり、行政がノラ猫対策として進める一つの手法とされています。

地域猫活動
地域猫活動は地域住民と飼い主のいない猫との共生をめざし、不妊去勢手術を行ったり、新し い飼い主を探して飼い猫にしていくことで、将来的に飼い主のいない猫をなくしていくことを目的とし ています。

地域猫活動は、 「猫」の問題ではなく「地域の環境問題」としてとらえ、地域計画として考えていく必要があります。

地域猫は野良猫とは異なります。地域住民は猫による被害の現状を十分認識し、野良猫を排除するのではなく、地域住民が飼育管理することで、野良猫によるトラブルをなくすための試みであることを理解しなければなりません。

飼い主のいない猫の始まり

猫を捨てたり置き去りにした人間(飼い主)→猫は本能のままに繁殖(爆発的な増加)→・温暖化により外でも住みやすい環境・栄養バランスの良いキャットフード・天敵である犬の管理徹底(ストレスなし)健康状態、繁殖力、生存率の向上

飼い主のいない猫によるトラブル

庭にフンをされる

(花壇や家庭菜園)

発情時の鳴き声に迷惑している

子猫が産まれた

(増え続けることへの不安)

猫の生理と生態

寿命

  • 飼い猫は15〜20年
  • 飼い主のいない猫は4〜5年(最近は10年以上)

なわばりとマーキング

  • 半径500mのなわばり
  • 臭い尿を飛ばすマーキング(スプレー行動)

爪とぎ

  • 気分を変えたい時
  • なわばりを示す(建物の柱や植木を傷つける)

排泄

  • 排泄物を掘って埋めて隠す
  • 自分の臭いの場所を好む
  • きれい好き

猫の成長

猫の成長

体重は平均100g程度

生後1週間〜10日

目が開く

生後3〜4週間

離乳が始まる。自分で排泄でき、動きも活発。

生後3か月

永久歯が前歯から生え始め、体格も成猫に近い

猫の繁殖

猫の繁殖(メス)

  • 生後6か月で発情可能
  • 交尾排卵で高確率妊娠
  • 1回に3〜6匹(年3回出産)
  • 妊娠期間は2か月
  • 出産後1か月で次の発情
  • 発情期には独特の声でオスを呼び寄せる

猫の繁殖(オス)

  • 一年中発情することが可能
  • 単独では発情しない
  • 発情メスの声と臭いに反応
  • 発情期は攻撃性やスプレー行動が見られる
  • オス同士のケンカが多発(鳴き声や臭いで近隣トラブル)

何とかしてほしい1

エサやりを止めて!

テリトリーで生活しているため生きていくために何でもする

新たなトラブルを生むだけ

犬と同様に猫も捕獲して

犬は狂犬病防止等で捕獲できる
猫は根拠となる法律がない

行政が捕獲処分することはない

何とかしてほしい2

猫を違う場所に持って行って!

動物愛護法において「愛護動物」として保護されている

動物愛護法違反第44条遺棄

100万円以下の罰金又は1年以下の懲役

ノラ猫を全て保護して

保護した人に大きな負担となる

多頭飼育崩壊予備軍

保護には限界がある

ノラ猫をその場所から居なくする手立てはない

ノラ猫をその場所から居なくする手立てはない→<発想の転換>→猫はその場所にいるもの!居なくするのではなく、トラブルをなくすことを考える→地域猫活動